• 10月6日(木) ゲスト卓話

    紹介 職業奉仕委員長 大澤 雅松

     笠原さんをご紹介する前に『職業宣言』を朗読させていただきます。前年度から職業奉仕委員会の担当例会において『職業宣言』の朗読を採り入れております。何故ならば『ロータリーの綱領』第2の項目について具体的に示したものが“四つのテスト”であり“職業言”だからです。

    ~職業宣言~

     事業または専門職務に携わるロータリアンとして、私は以下の要請に応えんとするものである。

    1)職業は奉仕の一つの機会なりと心に銘せよ。

    2)職業の倫理的規範、国の法律、地域社会の道徳記規準に対し、名実ともに忠実であれ。

    3)職業の品位を保ち、自ら選んだ職業において、最高度の倫理的規準を推進すべく全力を尽くせ。

    4)雇主、従業員、同僚、同業者、顧客、公衆、その他事業または専門職務上、関係をもつすべての人々に対し、ひとしく公正なるべし。

    5)社会に有用なすべての業務に対し、当然それに伴う名誉と敬意を表すべきことを知れ。

    6)自己の職業上の手腕を捧げて、青少年に機会を開き、他人からの、格別の要請にも応え、地域社会の生活の質を高めよ。

    7)広告に際し、また自己の事業または専門職務に関して、これを世に問うに当たっては、正直専一なるべし。

    8)事業または専門職務上の関係において、普通には得られない便宜ないし特典を、同僚ロータリアンに求めず、また与うることなかれ。

    《講師:支笏湖自然保護官 笠原 綾さんのご紹介》

     千歳民報のコラム・エッセー欄『ゆのみ』執筆者18名中の一人として、今年6月から3週間に一度の割合で『ゆのみ』へ寄稿していただいています。笠原さんは現在27才になったばかりで、私とは30才、本日、支笏湖から講師を送ってきて下さった佐々木直前会長とは42才も違う(笑い)、娘とか孫世代の方です。東京都日野市出身でH19年3月東京農工大学卒後、同大学院をH21年3月に卒業し4月から環境省(自然環境局)に入省。H22年4月から北海道地方環境事務所。そして、今年1月から支笏湖自然保護官事務所へ配属となった方です。本日は支笏湖の自然について時間いっぱいお話をいただけると思います。

                                                                                                                                                                                                                                                                                          環境省北海道地方環境事務所支笏湖自然保護官事務所自然保護官 笠原 綾 様

     東京の日野市で育ち、大学院を卒業して環境省に入り、昨年、北海道環境事務所に赴任して、初めて一人暮らしを体験しております。最初、大変心配していた両親も2回程、支笏湖に来てからは大満足して帰り、こちらが気に入ったようです。

     東京から来たというと、高層ビルがたくさん立っている新宿のようなところを想像されると思います。しかし、日野市は千歳市と似たようなところで、農業・工業が主の土地柄で、他に中央大学等の広大な大学や多摩動物園など自然豊かな施設があります。企業では日野自動車・セイコーエプソン・コニカミノルタ・東芝・帝人・雪印メグミルクの工場があり、農産物ではブルーベリー・なし・トマト・レタス等々です。また、市の鳥が日野市は“カワセミ”で千歳市が“ヤマセミ”というところも似ています。ただし、自衛隊がないのが違うぐらいです。日野市と新宿は30㎞しか離れていませんが、現在私の住んでいる支笏湖から千歳の市街地で一番近いコンビニまで20㎞というところに北海道の広大さに実感している毎日です。

     大学も東京23区内ではなく府中市にあり、私の専攻は森林生態学で土壌や落葉の養分と2次林(人の手を加えている)の関係を研究していました。中には山にこもったりしての実習もありました。小学校時代は近くに多摩動物公園があったことから獣医になりたいとの夢があり、高校時代には「一個体だけの保護ではなく生態系や地域の自然に携わりたい」と考えるようになりました。その後、日本初の環境保護学科が東京農工大学にあるのが分り入学し、大学体験の中で「人と協力して作り上げることが楽しい。人は自然なしでは生きられない。人と自然をつなげる仕事がしたい。」との思いが強くなり、環境省のレンジャーを目指しました。入省後の新人はだいたい、自然保護局へ配属され、その後、全国に84ヵ所ある自然保護官事務所へ赴任していきます。

     自然保護官というと、ただ「自然を保護しているだけ」のように思われがちですが、「どのように利用したら良いか」「利用しすぎているところは規制したり」とか、いろいろなことをしなければなりません。各種業務を経て、札幌に来てからは「支笏洞爺」「利尻礼文・サロベツ」方面を主に担当していて「羊蹄山避難小屋再整備・サロベツ湿原タンチョウ調査・トムラウシ登山道整備」等に携わりました。現地保護官を通じて「自然と人」のつながりに係われた9ヵ月間でした。そして、今年1月に支笏湖自然保護官事務所に赴任してからは、「苔の洞門の再評価」「樽前山にとっては外来種のコマクサ対策」「支笏湖の水草調査(絶滅危惧種ちとせバイカモ等)」等を進めています。

     日本の場合、国有林の大部分は林野庁所管の国有林です。環境省所管地が国立公園全体に占める割合は約0.08%であり、土地所有者の権利関係が入り組んでいますので、自然保護官一人が自然を守ることとか利用することには限りがあります。そのように、支笏洞爺国立公園の管理には「地元の方、事業者、NPO,パークボランティア、市町村、北海道、大学」等々の地域の方々、行政機関などとの協働が不可欠なものとなっています。冒頭に掲げた「自然と人と人をつなぐコーディネーター」になりたいとはこの背景があってのことです。自然保護官が現場にいるのは『書類で片付くなら現地にいる必要はない。自然と人を直接つなぐことで、一体となり前に進める』ためです。そして、環境省は人数も少なく予算にも限りがあり、自力のみで達成できることは少ない業態です。なので人と人の様々なつながりをツールに、国立公園を舞台にコーディネートを支笏湖で実現していく事を念頭に置いて仕事をしています。支笏湖の魅力は“近い”というところにあります。札幌から、空港から“近い”自然への入口です。私のモットーとして『メールより電話、電話より直接』皆さんに“近い”自然保護官であり国立公園を目指していきます。本日はありがとうございました。

      魅力いっぱいの支笏湖を自然保護官の立場から熱弁

                                                                                                           

                                                                          

                                                                                                

                                                                                                               

                                                                                                                           

     

    今村会長からお礼の御挨拶