11月14日(木) ロータリー財団・米山記念奨学委員会卓話
ロータリー財団・米山記念奨学委員会 菅原 正行 委員長
11月のロータリー財団月間にちなみ、菅原正行委員長が福田武男パスト会長の助言と資料提供を受けて「未来の夢計画」と題して財団の歴史から次年度補助金事業に関連する内容まで丁寧に教えて下さいました。菅原委員長は先月10月3日の卓話「米山記念奨学事業について」に引き続いての登壇です。説明・資料が分り易くまとめられており、有難うございました。 以下、パワーポイントの画像と共に卓話の概略を掲載します。(画像はクリックすると拡大します。)
※スクリーンの前でPCを操作しながら卓話を行う、菅原委員長です。
①ロータリー財団の歴史
1916-17年、ロータリークラブ国際連合会会長のアーチ・クランフ氏が基金の設立を提案しました。
1917年にアーチ・クランフ会長が提案した後、
1928年 ミネアポリスで開催された国際大会で「ロータリー財団」と名付けられました。
1931年 信託組織となり
1983年に米国イリノイ州法の法令の下に非営利法人となりました。
財団を構成する法人会員はRIのみであり、財団の正式名称は「国際ロータリーのロータリー財団」です。
②ロータリー財団の必要性
何故、ロータリー財団が必要であるかという事ですが、国際ロータリーは、寄付を受け取る事は出来るが、寄付者に対して税制上の優遇措置を与える事は出来ません。そこで、米国イリノイ州法の別の条項の下に、独立した非営利団体の「ロータリー財団」を設立し、米国の寄付者に対して税制上の優遇処置を講じました。
アメリカ以外ではカナダが1967年最初に設立しており、ドイツ、インド、イギリス、オーストラリア、ブラジル、そして日本で設置されております。日本では、2003年に「公益財団法人ロータリー日本財団」として登記され、2010年12月に公益認定を受け、2011年7月から、日本でも個人及び法人の寄付に対して、恒久基金も含めて全ての寄付が、米山記念奨学金と同じような完全な形での税制上の措置が可能になりました。
③ロータリー財団の使命
ロータリー財団の使命として、ロータリアンが、貧しい人々の健康状態を改善し、教育への支援を高め、貧困を救済する事を通じて世界理解・親善・平和を達成出来るようにする事であります。
④ロータリー財団への寄付
ロータリー財団への寄付をする方法は、大きく分けて3つあります。
・1つ目は、年次寄付という毎年寄付を行う方法です。財団プログラムを継続させる為の燃料の役目を果たし、3年後に使用するという事で、2001年規定審議会で、2005年迄に毎年一人あたり100ドルにする決議が採択されました。その後、2004年規定審議会で「Every Rotarian Every Year (EREY)毎年あなたも100ドルを」 が採択されました。
・2つ目に恒久基金という方法です。現金・遺贈友の会・年金などで寄付をする方法です。基金の目標は、2025年までに10億ドルにする事です。
先程の年次寄付は、今日の財団プログラムを支え、恒久基金は明日へのプログラムを安定した形にするものとなります。元金は使わず、使用可能な収益のみを寄付者の指定に基づいて使用します。通常1000ドルの寄付者はベネファクター(後援者)と呼ばれております。
・3つ目は、使途指定寄付という方法です。これは、使い道を決めて寄付をするものです。ポリオ・プラス、ポリオ・プラス・パートナー・グローバル補助金の提唱者側の寄付などです。
⑤寄付と認証
財団への使命とプログラムへの寄付に対しましては、寄付者に分かり易い形で、寄付行為に感謝の念を表し、寄付の種類と累計で認証されます。
・1つ目は、財団友の会の会員
年次プログラム基金へ毎年100ドル寄付をする人です。
・2つ目は、ポール・ハリス・フェロー
年次プログラム基金などに1000ドル以上寄付をした人です。
・3つ目は、マルチプル・ポール・ハリス・フェロー
1000ドル寄付し、更に1000ドルと累計で加算されていきまして、PHFの次にMPHFとなりレベル1からレベル8まであります。
・4つ目としてベネファクター
恒久基金に1000ドル以上寄付をした人となります。
・5つ目に大口寄付者(メジャードナー)
寄付の種類を問わず10000ドル以上寄付をした人となります。認証レベル1から4まであります。
・6つ目にアーチ・クランフ・ソサイアティー
現金の寄付合計が25万ドルを超えるとメンバーになります。
・7つ目にポール・ハリス・ソサイアティー
毎年、1000ドルを寄付する人が、メンバーとなります。
・クラブに対する認証制度として
⑴ 100%財団の友クラブ、
⑵ 100%ポール・ハリス・フェロー・クラブ
⑶ EREYクラブ
⑷ 年次プログラム基金の一人当たりの寄付上位3クラブがあります。
※⑴ 何回でも可能。⑵は一回だけとなっております。
⑥ロータリー財団への資金の流れ
3つの寄付について集まったお金が資金となりますが、年次寄付は、3年後年次プログラム基金として、恒久基金として寄付されたものは、財団活動資金となり、DDF(地区財団活動資金)及びWF(国際財団活動資金)としてそれぞれ50%ずつに分けられます。使途指定寄付につきましては、ポリオ撲滅基金など使途指定したものについてはポリオ撲滅事業へとすぐに使用されます。
ロータリー財団が基金を運用するプログラムは、奨学金から始まりました。
従来のプログラムとして
1、国際親善奨学金のプログラム
1947年以来、110か国47,000人で日本では当初400人が年間100人弱へと少なくなっております。
2、研究グループ交換(GSE)プログラム
これは、25歳から40歳の男女4名とロータリアンのリーダーのチームが海外での文化と職場の交流を行うプログラムです。1965年以来、地区のチーム交換で、100か国交流し、のべ57,000人、12,000チームとなっております。未来の夢計画では、このGSEが無くなる代わりに、VTTという職業研修チームの派遣や受け入れを行う事業となっております。
3、マッチング・グランドプログラム
ロータリークラブと地区が他国のロータリアンと協力して、国際的な人道的プロジェトを遂行することに対して援助することです。日本で積極的なところは、4地区のみとなっております。2660地区(大阪北部)、2520地区(岩手・宮城)、2820地区(茨城)、2620地区(静岡・山梨)
4、地区補助金プログラム
2004年の管理委員会で、地域又は国内の社会奉仕プロジェクトに補助金を出すというプログラムCAP(community assistance program)が誕生し、これが発展して、2003年7月から地区補助金制度がスタートしました。制度発足時は、文化的なプロジェクトもよかったが、その後は人道的なプロジェクトに限定される様にプロジェクトの内容が変わってきました。
マッチング・グランドのプロジェクトが1965年から2000年の35年間では1万件でしたが、2000年から2004年の5年間だけで1万件を超えるようになり、マッチング・グランドが急増しました。この人道的分野でのマッチング・グランドの爆発的成長は、ロータリー財団が取り組むべき問題を浮き彫りにし、「未来の夢計画」誕生の一つの要因となりました。
⑦「未来の夢計画」誕生の背景
ロータリー財団が創立100周年を迎える事を踏まえ、財団が時代に即した存在であり続け、ロータリアンのニーズに応える為に、アンケートなどに通じて多種多様な意見を取り入れて管理委員会が立案したものです。この計画は、ロータリアンが多岐にわたるプロジェクトを実施する事で多大な影響をもたらし、持続可能で目に見える成果を世界中にもたらしたいという願いを反映したものです。
1、「未来の夢計画」が出来るまで
2005年4月、管理委員会は、「未来の夢委員会」を設置しました。同年12月、世界中のロータリアン10000人にアンケート調査を実施しました。2006年10月「未来の夢計画(future Vision Plan)を承認しました。そして2007年4月、規定審議会で採択され、2008年6月にRI理事会は、ロータリー財団の「未来の夢計画」を承認しました。
2、「未来の夢計画」の導入に先立ち、
2010-11年度から2012-13年度迄の3年間、パイロット地区を指定して試験期間を実施しました。世界532地区の中で、277地区から「パイロット地区」の申請があり、その中から条件を考慮して100地区が選ばれ、日本からは6地区がパイロット地区となりました。世界は34ゾーン、日本は4ゾーンに分けられております。
6つのパイロット地区は、このようになっております。
⑧「未来の夢計画」5つの最優先事項と6つの重点分野
5つの最優先事項
1、プログラムの運営の簡素化
2、「未来の夢計画」に沿ったプログラム
3、地区あるいはクラブレベルで「自分たちの財団」と自覚すること
4、目的達成のための十分な資金と人材の提供
5、計画を支える効果的な方策の展開
6つの重点分野
1、平和と紛争予防・紛争解決
2、疾病予防と治療
3、水と衛生設備
4、母子の健康
5、基本的教育と識字率向上
6、経済と地域社会の発展
財団の第2世紀では、ポリオを撲滅し、ロータリー平和フェローシップ・プログラムを充実させ、6つの重点分野で実績を上げる世紀としなければならないと考えております。3年間の試行期間が終わった後、2013-14年度からは、世界中の地区が新制度の下で、未来の夢計画に参加する事になります。
⑨「未来の夢計画」における補助金の仕組みと内容
今迄は奨学金と人道的補助金と分かれておりましたが、新補助金という枠組みで一本化されました。新補助金として、新地区補助金、グローバル補助金、パッケージグランドの3種類になります。
・新地区補助金の内容
DDF(地区財団活動資金)の50%以内を使って、地区の裁量で自由に、人道的・教育的・社会奉仕活動などのプロジェクトを実施出来るようにしております。財団が関与する事なく、地区が管理するようになっております。プロジェクトの分野は問わず、地区の裁量で実行出来るようになっております。
千歳ロータリークラブでは、昨年千歳河畔植樹事業として20万円の承諾を得て、事業を行っております。
・グローバル補助金の内容
グローバル補助金は、持続と測定が可能で、重点分野の目標と関連したプロジェクトや活動に支給されます。財源は、DDFとWFと現金の組み合わせで、プロジェクトの予算規模は、3万ドル以上です。2か国以上のクラブ又は地区が参加する国際プロジェクトでロータリークラブが存在する国及び地域のプロジェクトのみに支援となっております。プロジェクト毎に財団に申請する。財団の厳しい管理のもとで施行されます。あくまでも、「6つの重点分野」に関する奨学金・VTT・大規模な人道的プロジェクトとなります。
・グローバル補助金のパッケージ・グラント
協力組織と合同でロータリー財団が立案する長期的なプロジェクト。資金はWF(国際財団活動資金)と協力組織が全額を提供し、ロータリアンがプロジェクトの実施にあたる。ロータリアンは技能やエネルギーを活動の実施に集中させる事が出来る。
⑩クラブの参加資格
参加資格とは、補助金を受け取る資格という意味で、「未来の夢計画」では、地区は新補助金の申請前に財団による資格認定を受けておかなければならない。とりわけグローバル補助金の活用を考えているクラブも、地区による資格認定を受けなければならない。新地区補助金の申請に関して、クラブの参加資格を設定するかどうかは、地区に委ねられております。
具体的な要件としては、
・地区主催の「補助金管理セミナー」を受講すること(2名)
・銀行口座の開設、財務管理、その他必要書類の整備
・クラブ会長と会長エレクトは、「クラブの覚書」に署名をして、地区へ提出する事などがあります。
⑪実施計画
2012~13年度 調査・計画
地区およびクラブ財団委員会は、地域や海外での奉仕プロジェクトを調査・決定する。
2013~14年度 計画年度(提案・申請)
クラブは補助金申請資格を取得し、プロジェクトを地区の財団委員会へ提案・申請。グローバル補助金について地区内で調整し、TRFへ提案・申請。
2014~15年度 実施年度・結果報告
TRFより支払。新地区補助金とグローバル補助金のプログラムを実施し、経過・結果の報告
2015~16年度 結果の評価
奉仕プログラムの効果測定と評価。グローバル補助金によるプロジェクトの継続実施、経過報告。
⑫ロータリー財団へ寄付と地区
地区として考えた場合、自分達の集めたお金が半分は還ってくるが、半分はどこかへ行ってしまい、自分達でお金を集めて地区で運用する方が、お金の使い道がはっきり分かり、自分達の本当にやりたい事に使えるという意見もありますが、ロータリーに入っているという事は、国際ロータリーの会員であるロータリークラブに入っているという事で、我々は直接目にする事は出来ないが、世界では、もっと困っている人達がおります。その人達に対して、ロータリー財団を通じて貢献する事も、とても大切な事であります。大きな視野で、もっと困っている人々を救いましょう。
⑬千歳ロータリークラブ寄付状況
ポール・ハリス・フェロー:6名
マルチプル・ポール・ハリス・フェロー
MPHF 1:12名
MPHF 2: 4名
MPHF 3: 1名
MPHF 4: 1名
MPHF 5: 1名
大口寄付者(MD):1名
ベネファクター:1名(恒久基金に1000ドル以上寄付)
(2013年11月現在)
今年度、千歳ロータリークラブの目標として、このような目標を立てておりますので、皆さまのご協力をよろしくお願い致します。
最後にこの卓話をさせて頂くにあたり、福田パスト会長より、資料の提供及び財団に関する事を教えて頂きまして感謝を申し上げます。大変ありがとうございました。まだまだ分からない事が多く、不十分な所が多々ありますが、皆さまのご指導の程、よろしくお願い致します。
ご清聴頂きありがとうございました。