• 11月15日(木) 会員卓話「今冬の電力需給対策と節電のお願いについて」

    出席・資料管理委員会委員長 加藤 正浩

       皆様には、たいへんご不便とご迷惑をおかけしますが、今冬も数値目標を設定した節電をお願いすることになりました。本日は、国における需給対策の検討経過も含め今冬の需給対策、そして今後の発電所の建設計画などについてもお話したいと思います。

    1.    北海道における電力設備の概要

     当社の主要な発電所は、水力発電所53箇所、火力発電所5箇所、原子力発電所1箇所、地熱発電所1箇所で、昨年度の電源設備は827万kWとなっています。そのうち、2019年までに運転年数40年以上となる火力発電所が13機中6機と、経年化したものが多くなっております。

    2.   今冬の電力需給見通し

     今冬における需給見通しは、2月が最も厳しく、供給予備力33万kW、予備率5.8%と、最低限必要な予備率3%は超えているものの、中規模の火力発電所1基分程度となっています。供給力は、夏に苫小牧発電所に新設した緊急設置電源7.4万kWと同程度ものを南早来変電所に追加導入するなど供給力の上積みを行ないましたが、596万kWとなっています。2010年の最大電力は579万kWですが、景気影響に加え、定着した節電影響を考慮し、今冬の最大電力を563万kWと想定しました。

    3.   安定供給のための需給運用上の制約

     電力他社は、複数あるいは大容量の連系線でつながっていますが、北海道は、本州との連系線である北本連系は、60万kWと小容量であるという連系線の制約があります。仮に北本連系設備で60万kW受電している場合に、道内の電源が脱落すると本州側からの追加受電ができず道内の電力供給力が不足し、周波数低下や不測の停電が発生します。このような状況を避けるため、平常時には北本連系設備の容量を一定量空けておく必要があります。

     北海道は需要規模が小さく、東京電力の1割程度となっており、最大の火力発電所が計画外停止した場合、12%も供給予備力への影響があることから、十分な供給予備力を常時確保しておく必要があります。石油火力発電所は、本来ピーク電源ですが、泊発電所の停止により、ベース電源としての運用となっております。国内炭火力発電所も、ピーク電源であったものが、現在は夜間以外は高出力で運転するミドル電源として運用しています。火力発電設備は、高稼働が続いており、今年上期の計画外停止・計画外出力抑制の発生件数・出力減少ともに昨年と比較し1.6倍に急増しています。また、2010年度は、過去15年間で最大の137万kWが同時期に停止しており、発電設備の計画外停止・計画外出力抑制をリスクとして考慮する必要があります。

    4.国に示された今冬の電力需給対策

     国からは、12月10日から12月28日 平日16時から21時、1月7日から3月1日 平日8時から21時、3月4日から3月8日 16時から21時において、一昨年と比べ7%以上の節電要請ということが示され、これを受けて当社からお客さまにお願いしているところです。

    なお、次のような条件が国から示されました。

    ①    冬季の北海道は、夜間も電力需要が高い水準であるため、上記時間帯以外も可能な範囲での節電を要請する。

    ②    上記節電要請期間以外の12月3日から12月7日、3月9日から3月29日の平日においても、8時から21時まで「数値目標を伴わない節電」を要請する。

    ③    病院や鉄道などのライフライン機能の維持に支障が出る場合については、機能維持への支障が生じない範囲で自主的な目標を設定し、節電を行うよう要請する。

    ④    電源脱落がない平時においては、生産活動等について、実質的な影響が生じない範囲で自主的な目標を設定し、節電を行う。

    ⑤    高齢者等の弱者に対して、無理な節電を要請することのないよう配慮を行う。

     夏と異なり、今冬は計画停電の準備を行わないことになりましたが、それに代わるリスク対策として、「計画停電回避緊急調整プログラム」を準備することになり、国・道・当社で、500万kW以上の大口需要家に需給ひっ迫時に生産停止や臨時休業まで需要の大幅抑制をお願いするものであり、33万kW以上確保が目標として示されました。

    5.今冬の電力需給対策の基本的な考え方

     過去最大級の電源脱落は137万kWまたはそれを上回る電源脱落が発生する場合にも、停電に至るリスクを回避するため多重的な対策を、需給ひっ迫度合いに応じて順次実施することになります。

     冬季は、夏季と比較した場合、最大電力では15%、電力量では25%程度の増加となります。特に、家庭では、夏季より電力量が60%程度増加するとともに、ロードヒーティングやルーフヒーティングの使用もあり、需要が増加します。夏と同様に、ご家庭向け、事業者向けのパンフレットをお配りしたり、テレビ・新聞広告などで節電をお願いするほか、道や自治体とも連携して効果的な節電方法等をお知らせすることとしております。

    6.今冬のリスク低減に向けた需給対策

     火力発電所・水力発電所の最低限の点検・補修作業を11月までに完了するよう取り進めています。また、流通設備も含め設備パトロールの強化により事故の未然防止に努めてまいります。北本連系は、電源開発㈱の設備ですが、現在布設している3本の海底ケーブルの1本に故障が発生した場合、送電容量は30万kWに半減しますが、故障したケーブルを今回布設した新設ケーブルに切り替えることで60万kWの復旧が可能となります。(本年12月上旬より使用可能)

     需要面では、大口のお客さまを対象に、訪問して需給調整契約等への加入をお願いしているところです。皆さんの中にも、500kW未満の高圧受電のお客さまがいらっしゃいますが、冬季需給調整実量特約のご案内をしておりますので、是非加入いただき節電にご協力いただきたいと思います。また、北海道の冬季においては、深夜にも需要が高いことから、大口お客さまに自家発の焚き増しを、5時間通電の夜間蓄熱型機器を単独計量しているお客さまに通電時間帯の設定変更をお願いしているところです。

    7.主な発電所の建設計画について

     当社初のLNG火力発電所を石狩湾新港地域に建設する計画ですが、1号機の運転開始は2019年度を予定しており、少しでも前倒しできないか現在検討中です。

     現在建設中の純揚水式発電所である京極発電所は、1号機の運転開始は2014年10月となっております。伊達ソーラー発電所に続く取り組みとして、当社グループ会社であるほくでんエコエナジー㈱が、池田町、本別町の2地点において、各1,500kW、合計3,000kWのメガソーラー発電所を建設することといたしました。

    8.まとめ

      風力発電と太陽光発電の出力は、気象条件によって大きく変動するため、安定した供給力として見込めず、また、電力品質(周波数、電圧)への影響という課題解決のためには、送電線の増強などさまざまな対策が必要となります。

     以上のように、短期的な供給力の増強には限界があり、当面泊発電所の再稼動が見込めないことから、今冬は節電をお願いすることとなりましたので、ご理解とご協力をよろしくお願いいたします。