2月14日(木) 卓話
「地域と新聞」 社会の中で新聞が果たす役割、地域社会での地域紙の役割や姿勢などの考察
親睦活動委員会 副委員長 大澤 雅松
ロータリーでは「世界理解月間」ですが、「think global act local」謂わば「地域を知って世界を理解しよう」という観点から、「地域と新聞」を卓話の主題に考えました。そこで、足元の地域紙「千歳民報」について、創刊から50年を振り返り、今後を展望してみたいと考えます。
私の生い立ちと新聞ですが、昭和29年、苫小牧錦岡生まれで、当時ラジオはあったが、テレビは小学生になってからのものでした。その中で、新聞はいつも家にあり、「読むもの」のほかに「畳の下敷き、襖の下張り、弁当包み、フライパンの油拭き」等々に「使うもの」でもありました。
子供の頃は自動車の設計技師になりたいと思っていましたが、自分が理科系ではなく文科系だと自覚し、高校の頃から教師や新聞社も選択肢の一つと考えるようになりました。自分の金儲けの為だけに働くのではなく、世の中に役立つ職業に就きたい・・・との思いがありました。大学が東京なので本州での就職もありましたが、結局、地元の「㈱苫小牧民報社」に決めました。ところで、皆様は既にご存知でしょうが「千歳民報社」という会社はなく屋号のようなもので、㈱苫小牧民報社の千歳本社という存在です。
苫小牧民報は昭和25年1月に創刊し、当初は「南北海(みなみほっかい)」で翌26年に題号を苫小牧民報に改め、その年に始まった苫小牧港築港の動きを軸に地域に密着した報道を続けていました。その後、昭和38年7月に千歳支社(平成元年から千歳本社)を開設し、今年で千歳民報創刊50周年となります。 昭和38年4月に苫小牧港が供用開始され千歳空港の民間旅客ターミナルビルが完成したりと、道央新産業都市になったこの一帯は昭和37~45年、大幅に公共投資が実行されました。昭和40年3月には恵庭支局を開設し「地域の健全な発展のために、地域への限りない愛情を持って」日々の新聞づくりに努めてまいりました。 ⇒資料①
昨今の新聞業界は、「新聞を読まない層の増加や景気の長期低迷」と「パソコンやスマートフォンなどで新聞が読めるなど電子媒体の普及」などで、販売部数・広告売上・チラシ売上など全てにおいて苦戦中です。新聞に直接載せる広告費で「1999年(H11年)1兆1,535億円⇒2011年(H23年)5,990億円」と激減しています。しかし、広告費全体では「1999年5兆6,996億円⇒2011年5兆7,096億円」と増加しています。テレビ業界も自社番組宣伝が増え広告収入は減っています。インターネット系に広告費が回っているということになります。 ⇒資料③、④
このように厳しい環境下ではありますが、私たち千歳民報は「日本新聞協会 新聞倫理綱領(S21年7月制定、H12年一部改定)」に則り「国民の『知る権利』は民主主義社会を支える不変の原理である」ことを尊重し「言論・表現の自由のもと、高い倫理意識を備え、あらゆる権力」から独立した機関として、他の媒体と一線を画していきます。そして「地域の健全な発展」を民主主義というもので構築して行くために、地域の皆様に「知る権利」に基づいて「正確で公正」な情報を提供していきます。 ⇒資料①、②
今後も地域紙「千歳民報」を続けていくための選択として創刊50周年を迎える7月に大幅な紙面刷新と「独立と寛容」「正確と公正」を保つために料金も見直すかもしれません。皆様方には「この紙面で民主主義が担保できるのか」など厳しく見ていただいてご意見、ご指摘を賜ればありがたいと思います。