• 12月13日(木) 卓話

    「ロータリーは、もうこりた!?」 ・・・ロータリーとは? 職業奉仕とは? 

    職業奉仕委員会 委員長 福田 武男

         

     1970年、現在の東京RI2580地区から、「職業奉仕週間」が始まり、それがたちまち日本全地区に広がりました。そして、RIが日本を真似て、ロータリーの公式行事として1979年に10月15日を含む1週間を、「職業奉仕週間」と指定し、1983年からは、10月を「職業奉仕月間」と定めました。  (・・・・・・・職業奉仕委員会が開店休業になっているからでは?)

     忘己利他とは自分を忘れて、他人のために尽くす。発音に注意です!(日本天台宗の開祖; 伝教大師・最澄の言葉です) 「好事を他に与え、悪事を己に向かえ」、そして 「己を忘れて他を利するは、慈悲の極みなり」                                     忘己利他は、他に利益を与えるからといって、自分は不利益をかぶり不幸になるということではない。他を幸せにすることで、自分も幸せになるということ。

     次に、私たちの知人や友達をロータリーに勧誘しようとするとき、みなさんはどのようにロータリーを説明しますか?ロータリアンとして、先ず最初にくる疑問を、取り上げてみました。「何をしているクラブなの?」「何を目的に活動しているクラブなの?」・・・・・このような入会候補者に対して、間髪を入れずに自分なりに返答できますか?

     この「3つの義務」は耳にタコができるほど、言われていることです。「ロータリの友」は読まれざるベストセラーと言われていますが、③の義務は購読ですから、買うだけでは駄目なのです。何のためにロータリーがあるのか、即ちロータリーの目的は何だ・・・・ということを考えてみたいと思います!                                    それには第一の関門は、「ロータリーの綱領」です。

     

     会員名簿の最初をみてください、ロータリーの綱領=目的が書かれていますね!綱領とは、原文(英語)で、Objectで、即ち「目的」です。綱領というのは、アメリカでは、Platform(政党の綱領、選挙前に発表される公約)、とか主義・信念の意味のprinciplesが使われる。ロータリーの目的は、RI定款、標準ロータリークラブ定款の第4条に書かれています。

     奉仕の理想(the ideal of service)という文言が、分かり難いですね。鼓吹というのは、昔の言葉で今は余り使われていない。・・・鼓をたたき笛を吹いて、意見や思想を盛んに主張して、相手に共鳴させようとすること。今の言葉でいうと、「奨励」です。

     シカゴクラブの定款は1906年、最初のロータリー綱領は1912年、それから何度も修正が加えられて、今日の綱領がある訳です。現在の綱領の原型は、1935年のメキシコ大会の時に作られ、その時はObjects・・・と複数形であり、これは、「ロータリーの目的」は前文と、四か条の本文から成り立っていると解釈する必要があった。1951年のアトランティック・シティー大会において、Object・・と単数形になり、これで、「ロータリーの目的」は、一か条の本文と四つの付随項目と解釈されることになった。

      「the ideal of service」という言葉が3回使われていますが、この「奉仕の理想」という言葉を理解できなければ、全体を理解することは出来ないのです。私の解釈だと、こんな風になりますが、余りにも口語調すぎるでしょうか?

     

    「サーヴィスの心」とは、どんな意味なのか?

     

    2001年の手続要覧には・・・

    「ロータリーは職業奉仕という言葉を使用するにあたって、Service(奉仕)という文字を、その一番広い意味で使っており、単に事業あるいは専門職務における取引行為や販売された商品を指すのみではなく、相手のニーズや境遇に対して正当な考慮を払い、他人に対していつも思いやりのこころを持つことも指しているのである。(2004年手続要覧では何故か削除されてしまった?)

    現在は会員名簿にもあるように、

    「最もよく奉仕する者、最も多く報われる」

    「奉仕に徹する者に最大に利益あり」

    「最善のサービスをなすものに最大の利得がある」

    「最もよくサービスを為す者は最も多くを利益す」

    『儲けたければもっとサービスをしろ」・・・・・アメリカ人はこんな感じでは?と、東京東RCの神守源一郎PGは述べている。他の邦訳は、上品過ぎるとのこと。これでは下品すぎないか?

     

     

     ロータリーの歴史の中で職業奉仕という名称が使われ出したのは、1927年。「職業奉仕」とは、ロータリーの奉仕哲学である「親睦と奉仕(理論と実践)」をより実践し易くするために設けた奉仕の4大部門の一つとして生まれたもの。

      初期のロータリアンは、どのような過程で職業倫理を高めていこうという気運になっていったのか・・・。1907−12年の5年間、会員間の「物質的互恵主義」が続いていたのであるが・・・。1910年、全米ロータリークラブ連合会では、初代会長のポール・ハリスは、改めてロータリーの新しい理想を探し求めて、「BUSINESS METHODS COMMITTEE」を作り、シェルドンを委員長に据えた。シェルドンの「奉仕の理念」から、⇒ロータリアンの職業の倫理を高めていくような何か倫理訓を作ろう!・・・という機運が高まってくる。このようにして、何か具体的な基準を作ろうということで、「道徳律」が作られていく訳です。

     

     

     「道徳律」を知らないロータリアンが多い。

     それは、「四つのテスト」は印刷されて、目にすることもおおいが、「道徳律」は、手続要覧にも記載がなく、特にこれが欲しい人は、RIに申し込む。すると送ってくれるというややこしい仕掛けになっているから。1977年のサンフランシスコ大会で、世の中だんだん厳しくなってきた。せっかく作った「道徳律」を見直してはどうか?となり、あれは少々行き過ぎの点もあるから、少し直して作り直そうということになった。それが1980年のシカゴ大会のときに、即ちロータリー創立75周年シカゴ大会の時に、RIは「道徳律」RI細則の第16条から削除した。その理由として・・・

     しかし、ロータリーは職業奉仕をやめたのではなく、必要なら各クラブで、各地区で、日本なら日本で、独自で適当な道徳律を作りなさい・・・それでいいのではないですか?

     皆宗教も違うし、人の反対していることを、それが黄金律だとか、世界共通の心理だとかいっても、価値観の相違もあるだろうし、無駄な議論ではないか。日本は日本で、作ったらいいでしょう・・・ということになった。

     「奉仕の理想」は、いつも例会で斉唱している歌の題名でもありますが・・・・・・。私は、「サーヴィスの心」がいいのではないかと思いますが・・・

    「ロータリーの公式名簿」の裏表紙に記載されているとても有名な文言です。

    「奉仕の理想」とは・・・「相手のことに思いを馳せ、相手に手を差し伸べてお助けすることなのである」

     

    他の聖哲の教えも・・・・・・「奉仕の理想」とは、これらの黄金律と同じだとも言うことができる!

    ユダヤ教;あなたにとって好ましくないことを、あなたの隣人にするな。

    ヒンズー教;人は他人からしてもらいたくないと思う如何なることも、他人にしてはならない。

    イスラム教;自分が人から危害を受けたくなければ、誰にも危害を加えないことである。

    エジプト人;他人のために良かれと自らが望んだことを、人にしてあげなさい。

    仏教;他人の幸せを、自ら望んで探し求めなさい。

    儒教;自分の嫌だと思うことは、人にもするな。

    ただ違うところは・・・・・ロータリーは自利と利他の調和を追求しているところでしょうか?

     

     大連ロータリークラブ宣言

     

    最後になりますが・・・

     米山梅吉翁は、「職業向上月間」と呼んでいたとのこと。10月はRIの強調月間、この月間は「職業奉仕をする月間ではなくて、職業奉仕理念の理解を推進し深める月間」である。